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どう見ても 放 置 サ イ ト 化していますネ
小説の続き、あと2話分くらいあったのですがPC壊れて以来、バックアップがあったのか、なかったのか・・・・ともかく先がみえず・・・・。 エ ロ く し た い という願望はあるのですが、タダの エ ロ もつまらないしw というか、文字で書ききれないだけです(=、=;)<タ ダ エ ロ モ ノ ノ ケ あれから新しいシリーズの話とかないんでしょうかねぇ 妖怪ブームなんで、ガツンとやってほしいですね! 雪、雨、香り・・・・嵐もあったし・・・・日照りってなかったような。 日照りネタでなんかやってほしいなぁ。 あの独特の表現力で、熱くて干からびた世界の恐怖を描いてほしい。 最近、冬が恋しいです。 雪降って欲しい〜 温暖化悲惨・・・・ そうだ エコ妖怪とかどうかなぁ〜 w あ〜そうなると、 千 と千 尋の神 隠 し がもう存在して、傑作ですネ |
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しばらく、更新が止まってしまいました。
ブログだけではなく HPをつくるうと準備をしていましたが、 なんとデータが飛びまして。。。。。orz 再検討でございます。 モノノ怪は絶対映画版でうけると思うのですが・・・・新しい動きはないようですね。 小説に、思いのほかたくさん拍手を頂いてて(涙ホロリ) ありがとうございますッッッ! HPのデータ飛んだときに、続きの小説の下書きも飛び (TワT;;;) それから、テンション落ち気味で更新せずにゴメンナサイ! 『薬売り』ネタも・・・・・薬博物館に行くまでは、ネタ無し状態ですね! (薬博物館に行く予定が二ヶ月も延びた) ご評価に、現実的な厳しさが〜と頂き、嬉しいです! しかし、この後の話はかなり神がかり的な展開になるので、ご期待に沿えるかなっ がんばります。 1月からはじめて・・・もう、6・・・・・orz ホントっ、すみませんっっっ (^^;) |
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◆ 蝶蛾彌 chougami ◆ 四幕 〜物の怪〜
三日の恩義は、三年の奉公に、あわれ。 「化粧が済んだら下にきな」 いつもにように、言われるままに支度をする。 初めは抵抗があった。化粧はなんのためにするのか。 だが鏡の前で、線を引き色を付け、別人になれば心の傷が避けきれるような気がして、 止めることが出来なかった。これは・・・己の顔ではない。自分ではない、そう思えるから 化粧をしていたのかもしれない。化粧という”能面”なのかもしれない。 顔とは、見られる”心”。 心は、見ないことで偽ることが出来る。 顔は、塗ることで偽ることが出来る。 「ほう、文字が読めるのか」 客の一人が感心していた。文字が読めるのは当然のことだと思ったが、 ここでは珍しいことだと言う。ただ、褒められても嬉しいということは無い。 仔は、成り行きを見届けるだけだ。 「この仔は重宝します。芸事の嗜みがあるし、若くて肌も白い。何よりも....」 女将が最後を美味しいお菓子を出すかのように、話す。 「お客を取っても・・・・仔をはらまないのが・・・ふふ」 「・・・・なんと、これが男児か」 「いかがですか?たまには趣向をかえて遊ぶのも」 「ふーん」 いつもの会話。いつもの成り行き。 ほとんどがこの会話のあとに、仔を部屋へ連れて行く。 仔は、あらがう術もなく身を食いばまれ、尽き果てる。 気づけば客はなく、部屋には一人重い体が残る。 窓から見える陽は高く、・・・・・そんな生活が続いている。 だがこの客は珍しく、朝起きると隣にいて面白い話しをはじめた。 「御前さんは文字がよめるらしい。これを読んでみるか?」 「なんでしょう」 「巷で噂の“物の怪”の話しだ、面白いぞ」 「もののけ・・・・・、」 まだ布団の中だったが、言われるままに肩を並べて読む。 久々の書物。ちゃんと文字が読めているのか、心配になって声に出してみる。 「これは鬼門にすまふ物の怪の姿を・・・、、、らえて・・・・」 「そこは、捕らえて、と読む。」 「とらえて、退治する・・・・・」 「次の文字は、陰陽師だ」 「おんみょうじの、力・・・・」 「ふむ。漢字は教えてやらねばならんようだ」 「・・・・・・・」 「御前は、他の仔らと違って喋らないようにするのではなく、 喋りたい事がないのだろうか。会ったときから、無関心な無口だ」 「・・・・あい、すみません」 「割に・・・・・、それが魅力なのかもしれんが。 だが、そちも男。いずれ飽きられる、可哀想だな」 「・・・・・可哀想とは、・・・・・はじめて言われました」 笑いの種ではなく、この男は憐れ正直に、”哀れ”と口にしていた。 それが、何故か不思議な感覚だった。そして、わずかに痛みさえ感じた。 仔には、嘘ではない言葉を聴いたのは、久方のことだったのかもしれない。 本当のこと。本当の言葉。 そんな単純なことがない世の中。 ・・・・真の言葉・・・・それは重く鋭い。何かを断ち切られたような気持ちになる。 「私はお前何かしてやる気はないし、誰も助けてはくれないだろう。 可哀相だといわれ無いのは、 皆、ここの人間が可哀相だからだ。 自分だけ考える、それが精一杯なのさ。」 皆、我が身のことで精一杯なのだ。オトナもコドモも関係ない。 世の中とは、余裕の無き修羅場。 不満・・・・そう思っても、回りの誰もが同じ状態で、それが普通なのだと 信じる様にしていた。飯をくれる女達は「これが世だ」と言って私に食わせた。 それが例え不満であっても、大人が正しいと言えば「正しい事」だった。 不満は、叩きつけてはならないという教え。 憐れまれて初めて、自分の身の有り様が不満なんだと 納得できたのは可笑しな事だろうか。それでも構わない。 大きな扉が開く。 今まで、自分を見つけず、世間という檻に守られることを選んだ自分。 その牢屋の鍵は、己の心だった。 仔は、枕に顔を伏せて震えた。 「ほう、今まで「憐れと思うが、哀れ」と教えられてきたか。 ・・・・そうか、それもまた可哀想な事だ」 「もう・・・、一度・・・・」 「・・・・・、寒いのか?」 「一度、・・・・・おっしゃって、いただけますか」 「可哀想な仔だ、憐れむことすら与えられなかったのか」 「もう、っ・・・・」 「哀れよ、哀れ・・・・、そなたは不幸だった。泣くがいい」 仔は、男の袖に頭を落としたまま肩を震わせた。 男は何かしてやる気などないが、わずかな間、体を貸してやるくらい 損とも得とも思っていない。男は経験から言った。 「憐れみが劣る感情だとしても、与えられる情ならば欲しい事もある。 人の情とはそういうものだ。低俗な望みでも、小さな視線でも、 情けは掛けてこそだ。それで念が救われる」 “世の恨みつらみは人か造るものだが、救うのもまた、人だ” ・・・誰も、誰も。 父が死んでも、母に手放されても。 ・・・誰も、誰も。 私が可哀想だと言ってはくれなかった。 それが定め、それが決まり。 ・・・誰も、誰も。 本当の私を、見てはくれなかった。 ・・・誰もが、誰もが。 私の全てを締めつける。 ・・・誰もが、誰もが。 私の見目は褒めたが、私を憐れまなかった・・・・ やっと誰がが・・・、可哀想だと言ってくれた。 「袖が塗れてしまったな。着替えよう・・・・」 立ち上がろうとする男は、帰り支度の気配。 仔は袖を掴んだまま離そうとはしない。 時間にすれば僅かな時。なのに、世界は、変わる。 それが「真」が持つ力、「理」の不思議。 「もう、時が満ちる・・・・帰らねばならん」 初めて自分から客の袖を引いた。仔は、裾の布を払って脚を伸ばす。 髪をほどき流せば、陽の光が髪を透明にして行く。 白い顔の目の淵が、涙で紅梅に染まっている。 男は口説きもせず身を寄せられては、払う理由はなく。 仔を床にはべらせて組み合った。細いのに熱い体。 昼間の陽気に違和感なく、見るほどに繊細な肌。 行灯の光では、感触だけが楽しみなのだと気づく。 薄紅の着物から伸びる白い脚。透き通る髪は乱れ、妖艶。 こんなに淫らな姿を抱いていたのだと思うと、手放したくなかった。 肩に刺さる爪は、情夫への想いの深さか。慰め者への、温情の感謝か。 ただ痛いほどに、嬉しい傷。それには違いなかった。 気づけば陽が傾きかけていた。いつもの重くだるい体とは違う、さらりとした疲れ。 襖の隙間から、女中が声が聞こえる。 「・・・さん!お客さん、とっくに時は過ぎてるよ。半時伸ばすのかね」 仔はけだるく起きあがり返事をした。 「・・・・すみません、・・・・」 「あんたじゃないよ、お客にだよ。なんだ、まだ寝てるのかい。起こしな」 「はい、只今」 仔は布団をあげて、男に手を掛けた。そして、その感触に驚いた。 「....どうして、・・・」 暫くの間、色々なことを考えた。何が起きたのか、一体どういうことなのか。 「何してんだい、早くしな!伸ばすなら金守を先に頂かなきゃ」 「あ、の、....今は・・・・」 「お客さん、起きてくださいよぉ・・・・・まったく、愚図だねぇ!」 女中はじれったくなって襖を開け、部屋の踏み込んだ。 「お客さん?起きてくださいよ、聞いてんですか。・・・・えっ?」 「あの....、」 青白い顔に、白い腕。重い、カラダはひんやりとしている。 「何だいこの人、ふざけてるのかねぇ・・・・」 怒った女が、仔を見て急に冷ややかになって叫んだ。 「ひゃーーーーー!!! し、死んでる!!!」 「なんで、・・・・」 仔は、何故か自分の腹をさすって男を眺めた。 「おまえがやったのかい!?」 「・・・・いえ」 「じゃぁ、切り傷一つなく何故死んだ」 「わかりません」 「毒を盛ったのか。何かされたのか」 「・・・・明朝目覚めて、袖を引きました。組み合ったあとには」 「飽きれた。そんなに良かったのかい、あの男が。」 「珍しいおまえが客の袖を引くとは・・・・」 男は、いつ死んだのだろう。 例え情事のあとに死んでも、あそこまで冷え固まることはないだろう。 ・・・・男は何故、死んだのだろう・・・・。 廓に役人がきて取り調べとなり、仔が真っ先に疑われた。 しかし、情事の声を女中が聞いており、店も「病」と片付けたかったので、 金を包んで無罪放免となった。 死びとは剣客で有名な男だったが、ここの界隈ではみかけない顔だという。 長屋の大家から、家賃も払わないし最近、姿が見えないという届けがあったらしい。 役人からいえば”あの死びとは死んで二日はたっている”という。 仔は「忌」が憑いたという事で、屋敷の奥に幽閉された。 入り口には盛り塩もある。 まるで“物の怪”を封じるかのような騒動だ。 暗く狭い部屋の中で、思い出してみた。 自分は死びとと交わっていたのだろうか・・・・いや、暖かい感触は 今もまだ残っている。 どんなに考えてみても、途中からの記憶が無い。 眠った間に発作でも起こして死んだのだろうか。それにしては、冷たく 堅くなった肉はどういう事なのだろう。そして、私の腹にある欲情の痕。 悲しくはないが、この空虚はなんだというのか。 得たばかりの己の姿。 それを知っている人間が居なくなって、また自分の存在が消えてしまいそうで怖い。 此処から、出たい。 |
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拍手いただき、めっさ元気頂いてます〜v
のろのろ、だらだらした文でも読んでくださるとはッ (泣喜び) しかし、この続き。 黒い彼が出てくるんですが、元文章が どっかに消えた。 何が書きたかったのか、思い出せるかな。 |
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◆ 蝶蛾彌 chougami ◆ 三幕 〜蚕の夢〜
※漢字ルビ: 時鳥・杜鵑・不如帰=すべて同じく=ほととぎす 仔は、屋敷をでることは許されなかった。 花闇夜。 漆黒に輝く屋敷には、母より若い女たちが大勢いる。 仔は、紅格子に寄りかかり、客が着くのを待っていた。 皆、赤い着物に金銀の打ち掛けを纏っている。 華やかだが、品の無い賑やかさに眩暈がする。 昼よりも眩しい世界の裏には、夜より孤独な心がある。 「銭」を返すのに、三年もの月日が過ぎた。いや、まだ終わってはいない。 今思えば、山を抜け出した時には、名のある血筋を継承している者は 無条件に「保たれる存在」と自信があった様に思う。 育ちというものは、環境という栄養を吸い、思い込みを育てるものなのだ・・・・。 物の道理も、言葉の意味も、心の姿も、みな大人の言うままに押さえ つけられる身分。 父のことにしても、ここの事にしても、 不条理なことが平等の広い世界で、仔の力がいかに無力か忘れていた。 この歳にして、こんな反省を思うのは、不夜城で、どんな人間 も同じ人間として、いや、同じ獣となっていく姿を見たから。 「人の世に、面白いことなんてありはしない。それが生きるということか。」 仔は大人達が振舞うように、煙管の口をつけ白い靄を纏った。 その姿が一人の客を射止めた。だが、狩られるのは仔である。 欲しそうにするわけでもなく、要らぬとも言わぬ仔の姿は 男にいわせれば、獲物。 不夜城の夜は美しい。 春の鶯のように、美しく啼く鳥達が。孔雀のように、飛べなくとも翼を広げて舞う。 絹の籠の中で、夜が明けるのを望みながら続く闇夜に溺れ沈む。 かの名武将を「不如帰」で現すように、大人たちは 様々な方法で鳥を鳴かそうとする歌を聞いたことがある。 “鳴かぬなら鳴かせて見せ様、時鳥” “鳴かぬなら殺してしまえ、杜鵑“ 事は、あの晩の夕食を口にしてしまったことから始まった。 店の女将としもべが言う。 「いいかい。おまえが泊まった部屋は、店で一番上等だ。食事も白米、だった」 「つまり、三百文いただかなきゃならない」 「今、お金はありません。母のいる屋敷に遣いを出してください、 そうすれば御代は払います」 「遣いを出すには、あと10文付けとくよ」 「かまわないです」 翌日の夕方。台所で女将と男が話していた。 「まだ置いとくンですか、あのわらべ。女子じゃなきゃ用はないでしょ女将さん」 「あの仔の屋敷は金持ちだった。世話したお代を頂こうと思って、 遣いを出したらお屋敷で門前払い。子供の名前を出して動かない ところをみると、跡目の話で消えて都合がいいってことらしい」 「へぇ〜、で、どうするンで?」 「そうさねぇ〜」 悩むような口調とは裏腹に、女将の顔は愉快そうだった。 「母上にちゃんと伝えたのか?何故、何も持たず帰ってきた、」 「行ったさ。言ったけど門前払いだった」 「私を連れて行ってください。そしたら信用して、門を開けてくれる ・・・そうだ、文を持っていってください」 「もう10文かかるよ」 「かまいません」 「いいだろう明日、遣いをやろう。ところで今日も、白米でいいかい?」 女将は土間で、釜戸から白米をよそってお膳に乗せた。 そして懐から文をだし、釜戸に放り投げた。 「女将さん、その文・・・」 「燃やすンだよ」 「そんな事したらぁ、御代がもらえなくなっちまいますよ」 「バカだねぇ、あの仔をちゃんと見なかったのかい。美童じゃないか、 しかも文字まで書ける。どっかの武家の子かもしれないけど、 屋敷で名前をだせば門前払いされるってことは、わけありなのサ」 「じゃ、あの仔をお運びに? 全然力ないですよ、女将さん」 「歌は兎も角、舞のひとつでもできればいいサ」 「歌?・・・でも、うちは女郎屋・・・・・」 「何がいいって、あの仔ならサ。どんだけ客をとっても、孕まないだろう?」 「・・・、なるほど!確かにっ」 「あーいう育ちの仔には世間ってもんを知らせてやった方が身の為サ」 女将はお膳に恨みでもあるかのように睨みつけた。 茶碗の白米は湯気をたてて黙っている。 「何、ぼぉとしてんだい!とっとと、持ってお行き」 「ハイっ、、、」 五食目の飯は、麦だった。 「やっぱり、おまえさんのことを知らないとサ。 おまえ、嘘ついてンじゃないのかい?」 「嘘などついていないっ」 「渡そうとしたさ。だけど、知らないって」 「母に.....直接、渡してないのか?」 「まぁ、どっちにしても・・・この部屋と食事三日分を払ってもらわなきゃねぇ」 「金はない・・・後で・・・」 「後で?そんな話、通じるわけないだろう 」 「では、・・・どうすればいい?」 「働きな。おまえみたいな仔、ろくに働かずに飯を食ってきたンだ。 大きくなってからも威張ってるだけのつまらない人間になる。 賢い大人になりたきゃ、働きな」 「掃除なら出来る、寺でやっていた。飯炊きはしたことがないから、教えてくれ」 「そうじぃ?何年ここにいる気だい。寺にいたンなら・・・、 教える手間もないようだねぇ」 「・・・・、・・・・・。」 不夜城の夜は美しい。 春の鶯のように、美しく啼く鳥達が。孔雀のように、飛べなくとも翼を広げて舞う。 絹の籠の中で、夜が明けるのを望みながら続く闇夜に溺れ沈む。 初めての客は、父上様の父上くらいの男だった。 腰に刀はあるものの、強そうには見えなかった。刀を下ろせば ただの爺さんだった。ただ振る舞いの大きさだけが、格付けを現していた。 「この仔は新造なので可愛がってあげてくださいなァ〜」 女将の声は猫撫で声で喋った後に、小声で「粗相をするンじゃないよ」と 肩を押してきた。 部屋には、二人と豪華なお膳。 「金に困っているのか?身請けしてやってもいいぞ。さぁ、まずは盃だ」 銚子を向けられ、盃を取る。お酒は正月の清めに触れただけで、 呑んだことはない。この爺さんには女も男も、大人も仔の区別さえ ないようだ。 なみなみと注いだ酒は、「呑め」の一言でカラダに 流し込むことに成った。 仔の小さな身体には、たかだか一杯の酒が世界を変える。 覚えている事といえば、皺々顔に似つかわしい精力で押さえつけられ、 和尚の方がましだと思った事。寺が嫌で逃げたのに、寺よりも 怖いところに迷い込んだと、・・・解った事だった。 カラダの内から酒の熱さに呷られて、手足が床に沈む。 体の大きさと力は、遠く及ばない。蛇に内臓を喰われる様な気分だ。 嫌な感触を拒む手段が無くなって、仔はカラダを捨てた。 「ぅん・・・、んっ・・・・、」 「っあぁ、・・・・いっッ」 「女より、も、・・・具合が、いい。、んっ」 「・・・・・ぁ、っッ」 空いたカラダ。腹の奥に・・・・、何かが孕む。 ・・・・、此処は何処だ。なぜ誰も、私を迎えに来てくれない・・・・・ 天井も壁も朱塗りの派手な部屋だということ意外、あの寺と同じだ。 母にはいつ、会えるのだろう・・・・・母は私を捨てたのだろうか。 そんな事は無いと、必死で懐かしい顔を思い出す。 しかし、遠ざかる意識に浮かんだのは、母ではなく小田島だった。 夢の中。 真っ暗な中に、輝く宴の輪。真ん中に囲われて、闇をみる。 わずかに宴の光を受けて出来た影。一人の男が立っている。 輪の中から腕を伸ばして、影を掴むと思い出した。 この感触は、あの男の腕だ。 いつも陽が落ちる頃には門のところに居て、少しでも遅ければ 手習い部屋まで来てしまう男だった。心配性だと皆に笑われる 男だった。 側近・・・というよりは、親しい兄のようなもの。 もしかして、もうすぐ傍に。その襖の後ろに居るのかもしれない。 私を守ると、迎えに来てくれ、・・・小田島・・・・ 「私、は、華李鼓の、間に・・・・」 老客は眠る仔のうわごとを聞き、隣の女に訊いた。 「女将ぃ、この童子に名はついておるのか?」 「いいえ。これと言って名は持っていません。 ただ、この仔の部屋には「かいこ」という名を付けましたが、」 「蚕とな。この仔が絹を産むというのか?面白い、確かに 童子の肌は絹のごとしだ」 「大した意味はございませんよぉ」女は意味深そうににやりと哂う。 「蚕は蛹になれば茹でられて、羽根が生えても飛べぬ蟲。 蛾になれど口は無しというではないか」 「ふふふ、成長するほど価値はあがって、羽根が生えても飛ぶ だけの物を持たぬから逃げられず、羽化したら口が無くなって 餌を食べぬ・・・不思議な生き物わいな、蚕とやらは。絹を 産むためにだけ生きる、そう在ればよいなぁと思うたのですよ、旦那」 「人の手を借りねば生きながらえぬ蟲にする気か。女は恐い、恐い」 逃げようにも金を払っていないという罪悪感から、逃げること が出来ないまま月日は過ぎた。逃げたとて、捕まって折檻され るのは二度と御免だと体がいう。 まっすぐな心が歪められていく、憂鬱、空虚が体に広がる。 でも、負けるわけには行かない。働いて返せばよいのだ。 食い逃げするような志で、親に会うわけには行かない。 ・・・、初めはそう思っていたのだ。 「隠居がおまえに着物をあつらえてくださった。お礼を言うンだよ。 それと、この着物を着たら、こんな部屋じゃぁ釣合わない。 部屋を替えるからね、荷物をまとめな」 機嫌よく言った女将の意図を読み取れず、よい客がつけば早く 開放されるのだと考えて、仔は支度をする。 「あの仔は、金になる。あつらえ物をもっと豪華にして、 貸し入れ金を増やすんだ。わかったかい?」 女将が商売道具の使い道を算段している間に、仔は部屋を移り、 窓から空をみていた。前の部屋に窓はなかった。久々の青空が眩しい。 「綺麗な、青だ・・・・」 その時。窓に空があり、外の世界があることを知りながら、 何故抜け出さなかったのか・・・足抜けが危険だとしても、女将 の借金など、勝手に作った話で戯言なのだと信じることができなかった、 自分の弱さ。今思えば愚かだと思う。馬鹿真面目だとも思う。 悔しいなどと思うよりも、後悔は、無力さがどんなものかを知るばかりだ。 廊下ですれ違う女達が、私の顔をみて「なるほどねぇ、殿方の好みだねぇ」と 笑っても、湯が女と一緒でからかわれても・・・何故、ここに留まっていたのだろう? きっと、母に会えない不安を、今ここに存在するという実感で抑えていた。 そこから自分が他人に認められなければならないと思ったのかもしれない。 自分が存在するということを実感するために、逆に自分を捨てるという行為がある。 状況に合わせていく要領を覚え、ただ時をやりこなすだけの技量に、 心地の良い存在意義に溺れて。気づけば己の許しがたい事も、 受け入れてしまう弱い人間の現実。 解決されない不満と不安の悪循環は、眠りの中に幸せを 覚えるようになった。ただ、食べるために起きなければならない。 カラダを置き去りにして、心は眠ったまま客に委ねる夜。 ・・・その繰り返しが続いた。 怠惰した気持ちが芽を出し、根を張ろうとしている虚ろな生活。 その中で、厳しくもたくましい女達に教わったことがあった。 ここで働く女達の日常には、女の顔ではなく、人間の顔があり、 それは現実の色そのもの。 ある時のこと。着替えの前に、陽の高いうちに湯船にはいる。 「あらぁ、男の仔じゃないか〜。なんで女湯に?」 「そりゃ、美童を男湯になんか入れたら次の日、客を取れなくなるわいな〜」 「そりゃ、そうだ〜」 はははという、軽快な笑いにも慣れた。それまでは、大人の女は、 母くらいしか知らなかった。女とは、こうも様々な種類がいるのかと ・・・そんなことを考えていた。 そして、ここの女達には、母にない強さがあるようにも思えた。 「逃げたいと思えば牢になり、留まりたいと思えば城になる」 そういったのは誰だったか、・・・この女達だ。 「家にいても喰うもンねぇべ」 「畑で腰曲げて老いぼれるなら、綺麗なべべ着て、 腰をこうして動かしている方がましさねぇ〜」 「あんたぁ、そんな腰つきしてたら一晩もたねぇ。あはははは」 「そうそう、酒をたんと飲ませて、寝かせりゃいいのよ」 「そンだ、そンだ。要領よくやらにゃ〜、持たんわいなぁ、あははは」 皆、里はどこか遠い国。自分の里の名前すら知らない者もいる。 風呂窓から見える空は変わらず透き通っていて、見れば気持ちが晴れる。 また、ある女が言った。 「空は誰にでも平等だ。でも、窓からしか見れないのは不平等だと思う」、と。 窓の空。それだけで“幸せだ”と思うようになっていた。 だが、それはやはり慰めでしかないのだと知った。 |


